| 9月26日(木) |
| ■ある偉い経済学者の話■ 彼は、まだ学生のころ、世の中の仕組みを知りたいという欲求に駆られ、そのひとつの手段として、経済学を志した。ところが、経済というのは、身近な割には分かりにくい。追求すればするほど、奥が深い、というか、よくわからないのだ。 ![]() 第一、先生の講義がよくわからない。難しい単語や述語を使うので、どうしても理解に苦しむのだ。先生に質問しても、返ってくる答えは、難しい言い回しで、とてもじゃないが疑問は解決できなかった。経済学を勉強し始めて彼がまず気づいたのは、「経済学はやっぱり難しい学問だ」ということだった。 しかし、彼はくじけなかった。「この分かりにくい学問を、何とかして、誰でも理解できるように世の人に伝えたい。これが僕の仕事だ。」彼の心に火がついた。 彼は何冊も本を読み、自分なりに考え、仮設を立て、できる範囲で検証作業を繰り返した。そして、長い時間の後に、彼は、ついに彼なりに経済学を極めたのだ。 彼の結論は、こうだった。「なんだ、難しい難しいと思っていたら、実はこんなに簡単で単純なことだったんだ。これなら、誰でも経済学を理解できるぞ。」と同時に、彼の中にあるよこしまな考えが芽生えてきた。「僕がこんなにも苦労してようやくつかんだこの真理を、みんなにおいそれと教えてしまうなんて、僕はどうかしてる。みんだだって、もっと苦労すればいいんだ。僕の苦労をみんなも味わうべきだ」 彼は、本を執筆した。その内容たるや、難解極まりないものだったが、学界からは賞賛の嵐だった。彼は言った「経済学は、かくも難解な学問です。簡単に理解できるものではないのです」。学界の教授たちは、満足げにうなづき合っていた。 彼は、大学の教授におさまった。そして、現在も教鞭をとっている。生徒からの質問には、難しい単語や述語を並べ、もってまわった言い回しをして、生徒を煙に巻いている。 |
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